丘陵地の中腹に、空家で築43年の中古住宅が売りに出されていました。クライアントは抜群の眺望と自然を感じられる立地だったので、この場所を気に入られてたようですが、壊して新築するかリフォームするか購入前に悩まれてて、ご相談を受けました。
共働きでお忙しいご夫婦のご要望としては、この場所で抜群の眺望を毎日見ながら、四季を感じながら、仕事の疲れを癒し、ゆったりと暮らしたい。また、家族が集まる明るいリビングにしたい。プライバシーと収納は確保したいなど数点のご要望をいただきました。
この土地を調べてみると、がけ条例の制約により壊して新築するのは難しい土地でしたが、豊かな暮らしを送るという観点から見ると抜群の立地条件でした。建物を調査をした結果、工事をすれば生まれ変わると判断し、フルリノベーションをご提案しました。家が古いこともあり、耐震診断・耐震補強をして、断熱補強、間取り変更と大掛かりに工事をしました。結果、家の中に居ながらにして自然を感じられ、開放的で明るい家が完成しました。抜群の眺望と、四季を通じて光や緑の変化を楽しめるこの家で、ゆったりとした豊かな暮らしを送ってほしいと思っています。
閉鎖的で威圧感の印象を、明るいイメージへ(西側外観)
<リノベーション前>
<リノベーション後>
道路側に面する西側は、当初シャッターや門扉が設置されており、閉鎖的で暗いイメージがありました。車の出入りもしづらかった為、門扉やシャッターは全て撤去し、植栽も撤去して、人や車が出入りし易いようにスペースをつくりました。ただ、防犯性やプライバシーは高めたいとの要望から、窓を一部無くしたり、玄関ドア前に屋根付の木製アプローチを造作したりしています(写真-木材壁の部分)。格子の引戸を開けて玄関ドアまで少しだけ歩く空間も、どんな家なんだろうと高揚感を楽しんでもらえたらと思っています。
ガケの上に長い木塀を!(南側外観)
<リノベーション前>
<リノベーション後>
高い擁壁の上に建つこの家の特徴として、敷地が東西に長いという事もありました。擁壁上に設置された老朽化したメッシュフェンスはグラグラしてて、今にも壊れそうでした。そこで遠くから見てもこの家の特徴を示し、かつ安全性を確保する為に木塀にしようと考えました。塀の部分は、板を隙間を空けて張ることで通風を確保しています。出来上がってみると、長さが強調されて、強い印象を感じます。
四季を感じられる家へ(東側外観)
<リノベーション前>
<リノベーション後>
もともと東側の庭に向かって開く間取りとなっていましたので、その形態はそのままとし、開口部幅を広くしたり、全開口のサッシを採用したりして、庭との関係性が強まるようにしています。老朽化した屋根は葺き替え、縁側の庇も一旦撤去し造り替えています。庭に向かって開口部を広く取ることで、抜群の眺望を見ながら、紅葉や新緑など四季の変化を楽しんでもらえたらと思っています。
圧迫感のある暗い印象を、明るい開放的な印象へ(リビング)
<リノベーション前>
<リノベーション後>
既存は、広さの割りに天井が低く、色も濃かったので暗い印象を持つリビングでした。それは南側(写真左側)が壁になっており、せっかくの採光が入っていない事も原因の一つでした。そこで、間取りを変更し南面の壁を撤去して、十分な採光が入る開口部を設置しました。また、天井も撤去して勾配天井とする事で開放性を高めています。既存天井を撤去すると、どうしても抜けない鉄骨梁が現れました。こんな思いも寄らない事が起こるのも改修の醍醐味です。いくつか検討し、鉄骨梁をうまく隠すように天井に勾配を付け、段差を設けて間接照明にする事で解決しています。写真中央の細長い穴の開いたロッカーみたいな壁は、個人収納BOXになっています。家族それぞれが帰宅してすぐ個人の物をそこに置くと、リビングが散からないとの考えです。中央の細長い穴は、郵便受けとなっています。
和室二間続きを洋室へ(寝室)
<リノベーション前>
<リノベーション後>
2階の二間続きの和室を洋室に変更しています。床、壁、天井の仕上は全てやり変えていますが、障子は既存のものを再利用しています。真壁だった柱や鴨居は塗装のみを行い、既存の障子をそのままはめ込んでいます。和モダンなイメージに仕上がった寝室になりました。